憲法が危ない「緊急事態条項」
1月9日の新聞に国会の質問で緊急事態条項が取り上げられた事が載っている。 緊急事態条項について安倍晋三首相は11月に、 憲法改正について「緊急時に国民の安全を守るため、国家、国民自らがどのような役割を果たしていくべきかを憲法にどのように位置づけるかは極めて重く大切な課題だ」と述べ、現憲法に規定がない緊急事態条項の新設が重要なテーマになるとの考えを示した。 と朝日新聞にある。そして今回、 首相は、改憲条項の一つとして挙がる「緊急事態条項」の新設に関し「緊急時に国民の安全を守るため、国家と国民が果たすべき役割を憲法にどう位置付けるかは、極めて重く大切な課題だ」と、重視する姿勢を示した。 と東京新聞が伝えている。 緊急事態条項とは、2012年に発表された自民党の改憲案に次のようにある。 下の図の左側は改憲案の原案、右側は解説。
※「ヤバすぎだ、と話題に・・・自民党 日本国憲法改正草案対照表 2012版」から引用。
原典はこちら「ヤバすぎだ、と話題に・・・自民党 日本国憲法改正草案対照表 2012版」
この緊急事態条項の危なさを朝日新聞は次のように述べている。
自民党が最も「有力視」している緊急事態条項は、外国からの武力攻撃や大規模な自然災害に対処するため、首相や内閣に一時的に権限を集中させ、
国民の権利を制限することなどを明文化するものだ。 想定される次の大地震に備えるためにも必要というのが自民党の主張であり、多くの党もその趣旨には賛同している。 ただ、憲法を改正しなくとも、緊急時の対応はすでに災害対策基本法や国民保護法などに定められている。災害対応で大切なのは憲法ではなく、入念な被害想定や準備であると閣僚経験者や専門家は指摘する。 緊急事態条項は、憲法に基づく法秩序を一時的にせよ停止するものだ。戦前のドイツでワイマール憲法のもと大統領緊急令が乱発され、ヒトラー独裁に道を開いた苦い歴史もある。 自民党は、ほとんどの国の憲法に盛り込まれているのに日本にはないのは不備であるという。歴史的な経緯を無視した、あまりに単純な主張だ。 緊急事態条項の新設は、災害に備えるために「あれば安心」といったレベルの問題では決してない。
憲法に縛られる側がその縛りを解くよう求めることの意味は、よくよく考えてみる必要がある。安易な議論は、きわめて危うい。
また、弁護士の内山 宙さんは【9条改正よりもヤバい緊急事態条項】と言う事で次のように言っています。
◆もっともらしく見えて、誰も知らない緊急事態条項◆
この緊急事態条項の内容を、皆さんご存知でしょうか。
知らないうちに震災対策だと言って、なんとなくそうかなと思わせておいて、しれっと導入して、実はそれで終わりになってしまいます。
"一見、もっともらしく見えて、実は、人権を制限できるようにし、立法機能を国会から内閣に移し、ずっと緊急事態だということにして国会を今のままの構成にして、
選挙を実施しないことができてしまう、とんでもないものなのです。"
◆復興の遅れは緊急事態条項がないからではない◆
"震災対策ができていないのは、緊急事態条項がないからではなく、やる気がないからだということは、既に明らかとなっています。
震災対策といって増税したお金が、復興支援以外に回っているではありませんか。"
平時に備えることができないことは、非常時にもできないのだということが、復興支援の現場に関わる弁護士からも指摘されています。
◆9条を守っても、緊急事態条項が通ったら終わり◆
9条さえ改正されなければいいということではまったくないのです。
9条の会の方々こそ、緊急事態条項で9条が骨抜きになってしまう恐れがあることを理解していただきたいと思います。
自民党の憲法改正草案の緊急事態条項の要旨を、以下に記載しましたが、これを見ていくと、緊急事態だから軍隊を持ちますということだってありうるわけです。
そして、それを内閣が自分の判断だけでできてしまうわけです。
緊急事態条項が憲法に定められると、朝日新聞にも「戦前のドイツでワイマール憲法のもと大統領緊急令が乱発され、ヒトラー独裁に道を開いた苦い歴史もある。」とあるように、
その時の政府の独裁体制になる危険性があります。 お試し改憲と言われているが、こんな危険な条文が真っ先に出てくるかもわかりません。 これからの国会の論議を気を付けてしっかり見ていく必要があります。
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