共謀罪について

共謀罪 ② 17.3.21

今日、延び延びになっていた共謀罪が閣議決定された。
今後、国会に提案され委員会で論議されて行くことになる。
そこで、もう一度ここで共謀罪について考えてみる。

共謀罪はテロ等準備罪として提案されたが、テロという文言がどこにもなく、改めてテロという言葉を入れて再度提案されたものが今回閣議決定されたのだ。
今日のNHKによると、これが政府の言う必要性と主な内容だ。
「テロなどの組織犯罪を未然に防ぐため」だと言っている。
これは前回に書いた、
a)テロ対策のため
b) 条約批准のため

テロ対策についてだが、「組織的犯罪集団」の認定は誰がするのかと言う事と、認定の基準は何なのかという事が大きな問題となる。
このまま行くと認定は警察がし、その基準は警察の裁量に任されるのではないかと心配になる。
このようになると、沖縄平和運動センターのリーダー山城博治議長が高江での抗議活動中、2000円相当の有刺鉄線1本を切ったとして器物損壊容疑で準現行犯逮捕され、いろんな罪を追加され、約5ケ月拘留されている事を考えると、テロ等準備罪が成立したらデモなどに対する弾圧がすごいことになることが予想される。
このテロ等準備罪の法案は、認定する人、認定の基準が曖昧で、いくらでも範囲が広げられる危険性があるのが一番の問題です。戦前の治安維持法と同じだと言われる由縁です。
条約批准のためについては
この条約「国際組織犯罪防止条約」が出来たのは9.11以前の事で、「国際組織犯罪防止条約」は麻薬取引、資金洗浄、人身売買などを取り締まるための条約なので、テロには何も関係がない条約であることがわかる。
また、今のままでこの条約は批准できると専門家は答えている。

共謀罪 (テロ等準備罪) 17.2.21

今日の新聞にテロ等準備罪法案の世論調査で賛成44%、反対25%と載っています。
「共謀罪と呼ぶのはまったくの間違い」(安倍首相)等と誤魔化し続けている政府だが、なぜこの法律を成立させようとしているのか。
そもそも
「共謀罪と呼ぶのはまったくの間違い」(安倍首相)が本当なら、従来の「共謀罪」とは縁もゆかりもない別物の法案 を準備しているということになります。
しかし、これまで政府は「共謀罪」を創設しないと国際組織犯罪防止条約 (TOC条約)を批准することが出来ないと言い続けてきたので、「別物」で代替できるのでしょうか。(保坂展人氏のブログより)

とあるように表題が変わっても中身は同じ共謀罪なのです。

ところがこの世論調査の結果は「テロは無くさなければならない。そのためには『テロ等準備罪』は必要だ」と思ってしまい「テロ等準備罪」という名前に誤魔化されてこの法案に賛成してしまっているように思えます。

この共謀罪(テロ等準備罪)を成立させたい理由は、「オリンピックのテロ対策のために、国際組織犯罪防止条約 (TOC条約)を批准する事が必要だ」と言っています。
簡単に言うと
a)テロ対策のため
b) 条約批准のため
と言う事です。

また反対する理由は、
この法律が成立すれば
「『既遂』処罰が原則である今の刑事法体系を変えてしまう」
「曖昧な面が多く乱用される」
「権力が恣意的判断できる恐れがある」
「今ある法律で対応できこの共謀罪は必要ない」
と言う事のように思われます。
根本的には戦前の「治安維持法」のように危険な法律だということです。
次の表は治安維持法の時と今回のテロ等準備罪についての政府の答弁の比較です。


では今ある法律で
a)テロ対策 は出来ないのかという問題になります。
政府から現行法の穴を埋めると言う事で3つの事例があげられました。
①化学薬品を使った大量殺人計画で、原料の一部を入手した。
②飛行機を乗っ取って高層ビルに突撃させるテロの計画で、航空券を予約した。
③ウイルスプログラムを開発し、大都市の重要インフラを麻痺させパニックに陥らせることを計画し、ウイルスの開発を始めた。
これに対し民進党の山尾氏は、①についてはサリン事件の時の予備罪を、②についてはハイジャックの時の予備罪を適用できると反論しています。③については言及なかったようだ。
いま現行法制の下に、共謀罪が13、陰謀罪が8、予備罪が37、準備罪が8つあるらしい。
この論議で金田法相は山尾氏に十分な返答が出来ず、論破された形になったように見えた。
ただこの討論以前に、法務省刑事局長が「現行の予備罪では適切に対処できない場合が多い」と答えたことに触れ、安倍首相は「実務者ができないと述べている」と反論したようだ。
だが「『航空券を買った場合は予備罪に当たる』と70年当時の法務省刑事局長は答弁している。」ことを山尾氏は示している。
民進党の福山哲郎参院議員が、刑法のコンメンタール(逐条解説書)には現行法でもハイジャック目的でのチケット購入が予備罪の適用範囲として言及されていると追及。
また“大量殺人が可能となる危険性の高い薬品の購入”の防止に関しても、福山議員は警察用の論考集のなかに予備罪で対応できると示してある事実を突きつけた。(追加)

また別の日の新聞にも
金田法務大臣:「単に化学薬品の原料の一部を入手する行為は、裁判例をみると、組織的殺人の予備にあたるとは言い難い場合もある」
 民進党・福山幹事長代理:「具体的な判例を挙げて頂けますか」
 金田法務大臣:「ご指摘の点は直接の判例はありませんが、その点は訂正をさせて頂きます。ただ、判例的な考え方を申し上げているんです」
 テロなど組織的な犯罪を準備した段階で処罰できる法案を巡って、民進党は、現在の法律では対応できないケースを具体的に説明するよう金田大臣に迫りました。
金田大臣の答弁は二転三転し、対象となる犯罪の範囲の曖昧(あいまい)さが浮き彫りになりました。

と報じられている。(「判例的な考え方」って具体的に何のことだろう?)

b)条約批准のためについては、日弁連では
「新たな立法を要することなく、国連の立法ガイドが求めている組織犯罪を有効に抑止できる法制度はすでに確立されているといえます。 政府が提案している法案や与党の修正試案で提案されている共謀罪の新設をすることなく、国連越境組織犯罪防止条約の批准をすることが可能である」
と専門家がこれだけはっきり言っています。
「日本は国連のテロ防止関連条約のほとんどを批准し、それに対応して国内法も整備しており、テロ対策の法整備はきちんとされており、共謀罪法案が成立しなければテロ対策がされていない訳ではない。」(国連のテロ防止関連条約のほとんどが批准されていることを先日のTVの「そもそも総研」で示していました。)
とも言っています。今のままで条約は批准できると言う事です。

テロ対策が出来る、国際組織犯罪防止条約を批准できるというのに、過去3回も廃案になった共謀罪 (テロ等準備罪)がそれでも必要だというのは何を意味するのでしょうか。

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