共謀罪が衆院本会議で強行採決された
基本的人権が侵される恐れのある共謀罪(組織犯罪処罰法改正案)は大変危険なものだ。 安倍晋三首相は要約すると「テロ対策と条約」の二つが目的だと言ってきた。 ところが『テロ対策』にはあまり有効でない事。 『条約を批准する』には必要と言ってきたが、この条約はテロには関係ないと言う事が条約を作った人によって明らかにされた。
こんな中、国会で議論がされてきた。しかし、議論は深まらず、質問にもきちんと答えず、はぐらかしが目に余った。 共謀罪の成立要件は、 ①「組織的犯罪集団」 ②「構成員の間の犯罪の合意」 ③「準備行為」 となっているので、野党はこれを追及した。 明らかになってきたことは、どんな団体が「組織的犯罪集団」なのかというと、「捜査機関が組織的犯罪集団だと疑う団体」がそれにあたる。
無茶苦茶なことだ。 共謀罪が成立すると、「捜査機関が組織的犯罪集団だと疑う団体」の「構成員間の犯罪の合意」があるかないかを調べることになる。
「準備行為」があるか無いかを調べるために、「監視」することになる。 逆に言えば、「監視」しないと「組織的犯罪集団」かどうか、「構成員間の犯罪の合意」があるかどうか、「準備行為」かどうかがわからない。
だから「監視」が共謀罪には欠かせない捜査手法になる。 「組織的犯罪集団」の認定は「捜査機関が組織的犯罪集団だと疑う団体」であり、捜査機関の思うがまま。 「構成員の間の犯罪の合意」も「目くばせでも構わない」との答弁がある。二人以上が「共謀した」と当局が見なせば、その時点で処罰できるという。これも捜査機関の思うがまま。 「準備行為」に至っては、花見の件が出てきて、「花見であればビールや弁当を持っているのに対し、(犯罪行為の)下見であれば地図や双眼鏡、メモ帳などを持っているという外形的事情がありうる」と答弁。 馬鹿にした答弁で、答弁になっていない。地図やメモ帳はスマホで事足りる。双眼鏡にしてもスマホの写真の望遠で十分だ。 この答弁だと誰でもが捕まってしまうことになる。 この事から捜査機関に目を付けられれば、監視され、捜査されることになる事がわかる。 その対象は「一般の人は対象にならない」といっているが、誰でも監視や捜査の対象になることが明らかだ。
審議が十分でない、あいまいな点が多いこんな法律は成立させてはならない。 まだ参院がある。法律の危険な内容が国民にしっかり理解できるように政府に説明させなければならない。そうなるように野党に本気で頑張ってもらわなければならない。 またこのような法律を賛成して成立させる自公維には、選挙の時に投票してはいけないのだ。
上の記事をUPしようとした時、報道ステーションで 5月18日付で、国連の特別報告者であるジョセフ・ケナタッチ氏(マルタ大学教授)が、共謀罪法案について「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と指摘する書簡を、直接、安倍首相宛てに送付していた事を報じた。 ケナタッチ氏は、マルタ出身のIT法の専門家。一昨年より国連人権理事会によりプライバシー権に関する特別報告者に任命されている。 ケナタッチ氏は書簡の中で
① 現時点の法案の分析によれば、新法に抵触する行為の存在を明らかにするためには監視を増強することになる中に
あって、適切なプライバシー保護策を新たに導入する具体的条文や規定が新法やこれに付随する措置にはないと考えら
れます。
② 公開されている情報の範囲では、監視に対する事前の令状主義を強化することも何ら予定されていないようです。
③ 国家安全保障を目的として行われる監視活動の実施を事前に許可するための独立した第三者機関を法令に基づき設
置することも想定されていないようです。このような重要なチェック機関を設立するかどうかは、監視活動を実施する
個別の機関の裁量に委ねられることになると思われます。
④ 更に、捜査当局や安全保障機関、諜報機関の活動の監督について懸念があります。すなわちこれらの機関の活動が
適法であるか、または必要でも相当でもない手段によりプライバシーに関する権利を侵害する程度についての監督で
す。この懸念の中には、警察がGPS捜査や電子機器の使用の監視などの捜査のために監視の許可を求めてきた際の裁判
所による監督と検証の質という問題が含まれます。
⑤ 嫌疑のかかっている個人の情報を捜索するための令状を警察が求める広範な機会を与えることになることから、新
法の適用はプライバシーに関する権利に悪影響を及ぼすことが特に懸念されます。入手した情報によると、日本の裁判
所はこれまで極めて容易に令状を発付するようです。2015年に行われた通信傍受令状請求のほとんどが認められたよう
です(数字によれば、却下された令状請求はわずか3%以下に留まります。)
と述べている。 つづいて「上記の各主張の正確性に関して、追加情報および/または見解をお聞かせください。」とあり、これは日本政府に情報提供と見解を求めているものです。 これに対し、菅官房長官は、「特別報告者は国連の立場を反映するものではない。(日本)政府が直接説明する機会はなく、公開書簡の形で一方的に発出された。内容は明らかに不適切だ」と述べたと新聞に載っている。 ところが、「特別報告者は国連の立場を反映するものではない」とあるが、「国連人権理事会の特別報告者」とは、
国連人権理事会に任命され、報告義務を負い、個別テーマまたは個々の国について、人権に関する助言を行う、独立した立場の人権の専門家のことを言う。だから、しっかりと国連の立場を反映しているのだ。 そして、「政府が直接説明する機会はなく、公開書簡の形で一方的に発出された」とあるが、これは日本政府に情報提供と見解を求めているものなので内容が不適切ならば具体的に資料を示して見解を明らかにしたら良いだけの事だ。 頓珍漢にも抗議をしてケナタッチ氏から反論されている。
国連からもダメだしされている「共謀罪」。 今日、衆院を通過してしまいましたが、参院では通過しないよう、書簡にもある問題点をみなさんに広め、反対運動を盛り上げていきましょう。 以下に書簡の全文を載せます。
|